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デングワクチン:ワクチン接種前の抗体価が効果を決定する
ハマダラカ

4価のデングワクチンは効果的ではあるが、これまでデング熱に罹患していない小児がワクチン後にデング熱に罹患した際に重症化し、入院の頻度があがるかもしれないと評価されている。デング熱は蚊が媒介するフラビウイルス感染症でアメリカ、アジアの広い範囲で流行している。出血熱を含む重症感染症は数回感染することで生じる。デング熱のワクチンは4つ血清型全てをターゲットにしている。

ワクチン会社が主導した後ろ向き研究が報告された。著者らはワクチン前のデング熱の抗体価とワクチン接種後のデング熱の重症度合いと入院率について分析を行った。2~16歳の小児において、ワクチン前のデング熱ウイルス抗体価陽性群においては、ワクチンは重症およびデング関連の入院に関して5年にわたり70-80%の感染防御効果を示した。しかしデングウイルス抗体陰性群においては、ワクチン接種により重症デング感染症およびデング熱関連の入院は増加した。ワクチン接種は初発のウイルス感染と同様の効果を示し、ワクチン接種後のデング熱感染で症状が増悪するする可能性が高い。写真出典:Wikimedia

N Engl J Med 2018 Jun 13

#非常に残念な結果でした。会社主導の研究ですが、良く解析されているように思います。デングワクチンが、ワクチン接種後に重症デング熱感染症を増加させることは開発当時からずっと懸念されていました。ワクチンは抗体価陰性の人に効果を期待するものなので、今回の結果でデング熱ワクチンが一歩後退したと思います。次のワクチンが既に開発中とも聞いています。今後に期待したいと思います。

Keystone Virusが
初めてヒトから分離された

Keystoneウイルスは蚊(Aedes)が媒介する一本鎖RNAウイルスでリスやラクーン、シカの間で流行している。ヒトにおけるkeystoneウイルスの抗体価はフロリダでは20%と高値であったが、これまでヒトからはウイルスは同定されていなかった。この論文では、North centralフロリダにおいて微熱と発疹を呈する16歳男児症例からのkeystoneウイルスの同定が報告された。発疹は遠心性に広がり、かゆみ、痛みは伴っていない。患者は頭痛、頸部硬直、腹痛の症状は呈していない。男児は予防接種は予定通り行っていた。バイタルサインに崩れはなく、発疹は2日で消失した。リアルタイムPCRにてジカ、チクングニヤ、デング、アルファ、フラビウイルスは陰性であった。Keystoneウイルスの遺伝子は患者の尿からDirect sequencingで確定した。

Clin Infect Dis. 2018 Jun 9.

#ウイルス疾患の原因ウイルスは同定できないこともありますが、今回の同定をきっかけに各地での疫学が明らかになると思います。注目していきたいです。

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マヒドン大学熱帯医学短期研修の講義を中心に、熱帯医学、渡航医学、感染症に関する動画や、マラリアや消化管寄生虫クイズなど、わかりやすい教材で効率的に学習できます!以下、eラーニングの一部です。
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  Prof. Yaowalark
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  Dr. Wirongrong and Dr. Hadano.......他
2)消化管寄生虫を用いた地域診断
3)渡航前のワクチン接種東南アジア編...他

サンプル映像は、2017年マヒドン大学熱帯医学短期研修
「消化管寄生虫症概論」Prof.Yaowalarkです。

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※GMS会員登録で、マヒドン大学熱帯医学部出版(英語)の寄生虫アトラス(Atlas of Medical Parasitology)が500円引になります。

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